ただ今、政略結婚中!
部屋に向かいながらも、私の頭の中はめまぐるしく考えが行き交う。


手を繋いでいるけれど、強く握られているわけでもないから怒っているわけじゃない?


ううん、勝手に解釈しちゃだめ。


隼人さんは、考えを読めない人なんだから。


部屋に入ると繋いでいた手は離され、隼人さんはネクタイを緩めて外している。


その仕草にトクンと胸が大きく波打つ。


「亜希」


真剣な眼差しで見つめてくる隼人さんに戸惑って目が泳いでしまう。


すると、彼はワイシャツのボタンも外しながらゆっくりと私の方へと近づいてくる。


ギョッとなった私は、じりじりと後退する。


まさか、エッチしようなんて思っているわけじゃ……?


「ど、ど、どうしたんですか……?」


私の怖気づいた声が可笑しかったのか……。


「くっ」


喉から押し殺すような笑い声。



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