ただ今、政略結婚中!
隼人さんが私の隣に座ると、カルロスさんも助手席に乗り込み車は動き出した。


動き出すと同時に私達の方を振り返りカルロスさんは弾丸のごとく、日本語で話しはじめる。


そこで隼人さんがカルロスさんに何か話しかけた。


「……わかりました。これから我らが誇る遺跡を見に行きましょう!チチェンイツッァです!ここから2時間以上かかりますから、ごゆっくりなさってください」


カルロスさんは隼人さんに頷くと、私の方を向いて説明してくれた。


2時間もかかるって……隼人さん、良いのかな……。


仕事で来たのに、自分の為に遺跡観光を手配してくれた。


それだけでも胸の奥がポッと温かくなる。


「どうした?」


じっと隼人さんを見つめ過ぎていたみたい。


切れ長の瞳と目が合うと軽く首を傾げ聞かれる。


「いいんですか?帰って来るのが夜になっちゃいますよ?」


「仕事は休みにしたと言っただろう?」


「……」


「往復の睡眠時間が出来ただけでもいいんだ。お前が気にすることはない」


ドキッとするくらいの笑みを浮かべた隼人さんは、私の頭に手を置いてガシガシと撫でた。


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