ただ今、政略結婚中!
麗香がキッチンの中で動いているのをぼんやり見ながら、頭の中では隼人さんでいっぱいだった。


麗香にはそれが分かっているらしく、話しかけてこない。


ハンバーグを成形している作業に集中しているみたい。


一流シェフを恋人に持つ彼女だけれど、料理は苦手だ。


私はソファーの上に置いてあったバッグから携帯電話を取り出した。


いますぐ隼人さんに電話をかけたかった。


だけど、話したら会いたくなってすぐにでもニューヨークに戻る衝動を抑えられなくなる。


エステルとジョンの目が光っていると思うと、行くことは出来ない。


言うとおりに、信じて待てばいいの……?


隼人さん……。


会いたい……。


別れるなんて出来ない。


……。


今、私に出来るのは……隼人さんを信じて待つ……。


そう考えると、つき物が落ちたようにすっきりした。


自分自身に言い聞かせて、頷いた私だった。


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