ただ今、政略結婚中!
「心配かけたが、自叙伝が出版されることはないよ」


「本当に……?どうやって……」


「あの自叙伝に書かれていた話はあながち間違ってはいないが、彼女には俺の他にも常に男が数人いたんだ。ニューヨークでは俺、パリでは有名デザイナー、ロンドンでは貴族の息子、イタリアではモデルを」


「えっ?」


隼人さんの言葉が信じられず、バカみたいにポカンとした顔になってしまう。


「つまり、俺の他にも男がいて、それを俺が世間に公表すると脅したんだ。ばれたら俺よりもまずい立場になる男もいた。デザイナーは妻がいるし、貴族の男も妻子持ち、議員の立場上まずいことになる」


「脅したって……」


「文書を送っただけで、引き下がったよ。俺がそこまで知っているとは思ってもみなかったらしい。あぁ……それにエステルはジョンとも寝ていた」


ジョンがあれほどまでにエステルに協力的だったのはそう言うことだったんだ……。


考え込んでしまうと、隼人さんの指が眉間にそっと触れた。


「可愛い顔なのに、そんな顔をするなよ」


顔を傾け、唇が重ねられる。


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