ただ今、政略結婚中!
「健ちゃん?」


いつもよりも声が低い気がする。


私が彼を馴れ馴れしく健ちゃんといったせいで、隼人の不機嫌さが増してしまったみたい。


「彼は中学、高校まで一緒だった近所に住むお兄さんだったの」


私は急いで言い訳がましく説明した。


「へえ」


へえ……って……。


「もうその呼び名は変えろ、彼は俺の部下だ」


「えっ?」


今度は私が驚いた。


「まさか亜希ちゃんが紫藤本部長の奥さんだったなんて、驚きだな」


「亜希ちゃん?」


隼人さんの言葉に健ちゃんは急いで言いなおした。


「い、いいえ 亜希さんですね」


「隼人っ、ずっと亜希ちゃんって呼ばれていたから、亜希さんなんて変な感じだよ」


「上司の妻なんだから「さん」付けにするべきだ 阿部、他にも挨拶があるんだ 悪いな亜希を連れて行く」


私の腰に手を回した隼人は歩き始めた。

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