ただ今、政略結婚中!
私達はもう一度、グラスを重ねあわせた。


グラスのきれいな音色が、私の吐息に溶けていく。


ロマンチックすぎて、現実のものではないみたい。


「初めてきたが、良い個室だな さすがは兄さん」


「えっ……?」


「ここが一番良いと兄さんが教えてくれたんだ」


そっか~ 誠也さんが……。


なぜなのかが分かって、私は知らぬうちに笑みを浮かべていた。


「どうしてそんなに嬉しそうなんだ?」


「そ、そうかな?」


「ここが緩みっぱなしだ」


頬に指が触れられ、そっと撫でられる。


私の唇を求める様に、顔が傾く。


重ねられた唇はいつもよりも熱く感じた。


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