記憶の桜 -栄枯幻世-
そして、私が9つになった時。
「元気でな、ゆり」
踊りが上手く踊れず、養母との関係も良くない私は島原に売られた――。
私を売ると決めたのは養母だった。
矜持の高い養母は踊りが踊れないのが、許せないのだろう。
売られる前の日――。
「踊りが踊れないなら、いらないわ。あんた、顔は良いから売れるでしょ」
その時養母が見せた笑顔は最初で最後だった。
今まで感じた事が無いくらい、深い哀しみに堕ちた。
そうか…。
私は実の両親にも養父母にもいらない子なんだ…。