記憶の桜 -栄枯幻世-
「土方さんにそれを返したら、これをあげます」
そう言うと、沖田さんは土方さんの発句集を放り投げ、金平糖を口を開けてねだっている。
「うわぁあぁあ!」
土方さんが放り投げられた発句集を取ったのを確認すると、私は沖田さんの口に金平糖を1粒入れた。
「美味しい!」
どうやら、彼は甘い物が好きらしい。
何か、猫に餌付けしてるみたいで楽しい。
「葛葉君、ちょっと良いかね?」
そんなやり取りをしていると、近藤さんが部屋を訪ねて来た。
近藤さんの隣には見た事が無い男の人が立っている。