記憶の桜 -栄枯幻世-
「涼、これやるから黙っててくれ」
土方さんは沖田さんを解放すると、袂から小さな袋を取り出し、私に差し出した。
中身を確かめようと、袋の糸を解いた。
「金平糖だ!」
解いたと同時に、沖田さんは顔を明るくした。
そして、金平糖を羨ましそうに見て来る。
「総司、発句集を返せ!」
あげたいのは山々だけど、彼は土方さんに発句集を返していない。
この状態であげても、状況は変わらない。
こうなったら…。