記憶の桜 -栄枯幻世-


あの子の部屋に向かう途中、土方さんの部屋の襖が開いていた。




こっそりと中を覗くと、涼ちゃんが土方さんを抱き締めていた。




「だから…、独りで苦しまないで…」



慈しみが込められた言葉…。




僕は自室に戻り、縁側に座った。




すると、咳が込み上げて来る。



「げほっ、げほっ、げほっ」




そういえば、さっき胸がちくりと痛んだ。




前にも同じ事があったなぁ。




その理由がやっと分かった。









< 335 / 412 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop