記憶の桜 -栄枯幻世-
あの子の部屋に向かう途中、土方さんの部屋の襖が開いていた。
こっそりと中を覗くと、涼ちゃんが土方さんを抱き締めていた。
「だから…、独りで苦しまないで…」
慈しみが込められた言葉…。
僕は自室に戻り、縁側に座った。
すると、咳が込み上げて来る。
「げほっ、げほっ、げほっ」
そういえば、さっき胸がちくりと痛んだ。
前にも同じ事があったなぁ。
その理由がやっと分かった。
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