記憶の桜 -栄枯幻世-
「なめおって…っ!!」
芹沢さんは愛用の鉄扇を私に向けて、振り下ろした。
あまりの速さに逃げ遅れてしまい、私は目をつぶり、痛みを待った。
しかし、痛みはいつまで経っても来ず、不思議に思い、目を開けた。
「何やってんだ?芹沢さん」
視線の先には鉄扇を素手で受け止める土方さんがいた。
「おい、土方。こやつをしっかり躾ておけ。飼い主のように噛み付かれたら、困るからな」
躾って…、私は動物扱いですか!?
そう言い残すと、芹沢さんは八木邸の方に帰って行った。