記憶の桜 -栄枯幻世-
「やるか…。お前は庭を掃け。その手じゃ、水を触るのはきついだろ」
土方さんは私の左手に視線を移した。
確かに昨日、怪我したばかりだから多少痛む。
私は土方さんの厚意に甘える事にした。
「じゃあ、お願いします」
土方さんに雑巾を渡し、私は箒を持って来て、庭を掃いていた。
「いっ…」
すると、雑巾を絞ろうとした際に土方さんは顔を歪めた。
「どうしました?」
「いや、何でもねぇ」