あたしの彼は『ヒドイ男』
……どうしよう、吐きそうかも。
それまでロクにお酒を飲んだことのなかった私は、初めての経験にパニックだった。
具合が悪いなんて言ったら、せっかく歓迎会を開いてくれた先輩たちに迷惑をかけてしまうし、きっと場を盛り下げてしまう。
どうにかして我慢しなきゃ。
きっとしばらく我慢していれば、大丈夫。
そう自分に言い聞かせぐっと息を止めるようにして俯く。
けれど気分はまったくよくならず、じんわりと汗が浮かんでくる。
その時、うなじにひんやりと冷たいものを押し付けられた。
「……っ?」
脂汗をかきながら必死に吐き気を堪えていた私が驚いて顔を上げると、涙でうるんだ視界にぼんやりと黒い人影があった。
汗のうかんだうなじに、冷たいおしぼりを押し当ててくれているようだった。