カナリア鳴く空
いたずらが成功したと言うように、優衣は笑った。

目の前に見えるのは観覧車だった。

「誠司さんとデートらしいデートなんてしたことないじゃないですか」

優衣が言った。

「ここだったら、わたしと誠司さんの関係を知っている人なんていませんし」

ああ、なんて子なんだろう。

優衣はどうも、私を驚かせることが好きらしい。

「誠司さん、行きましょう」

優衣が私と手を繋いできた。

「わわっ…!」

優衣に腕を引っ張られる。

このやりとり、優衣の卒業式以来だな。
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