カナリア鳴く空
妻が連れてきた子供を好きになって、結ばれて、関係を持ったなんて。

そんなこと死んでも――いや、死んだとしても彼に言える訳がないと思った。

「そう言えば、大森さんの話を聞きましたよ?

経験のない全く素人の子を、マネージャーにしたって言う話」

これ以上尋ねて欲しくなくて、とっさに彼に関する噂話を持ち出した。

「ああ、乃南さんの?」

「名前で呼んでいるんですか?」

私が聞いたら彼は不思議そうな顔をした。

「おかしいですか?」

聞き返した彼に、
「いいえ」

私は首を横に振った。
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