Tricksters2ッ


「そしたら、本物の善太郎がモータークルーザーで船に来たのよ『うちの所長代理、返せ』って」


 アイツ……助けに来たのに、結果置き去りにしたのかよ!



「善太郎も淳一の寝顔可愛いって言うから、私はかっこいい! って必死に抵抗したの!」


「俺の寝顔はいいんだよ! 先を話せ!」


 ぐわぁー! どいつもこいつも! ムカつく!


「善太郎とチーズでワイン乾杯しながら、私が会社を任される話をしたのよ。これからよろしくねって感じで」


 確かに、ワイングラスが二つあった。


「ちょっと待て、そこで藍莉がなんで中国から来たのかって話したか?」


「してないけど?」


 よかった、ユカリさんの中国行きが無駄にならなかった……


 俺が安堵のため息をつくと藍莉は眉をしかめた。


「その話、関係ない」


「ああ、ごめん。で?」


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