Tricksters2ッ


「そ、そうか? 俺、心配」


 ゼンに引きずられながら通路を歩く。足がもつれた。両手拘束されると、歩きづらいんだな。片手までしか経験なかったぜ。


「淳一、怪しまれる。おまえコレ被っとけ」


 ゴッシゴシのポイントを貯めてもらえるタオルが頭からかけられた。

「あーあ、新品じゃなくなっちゃったな……で、署長にはちゃんと顔みせたか?」


「見せた」


「なら、心配いらない。おまえは、配達に来て巻き込まれた被害者になれる。よかったな」


「よかったって……!?」



「シーっ、お喋りおしまい。行くぞ」



 ゼンは堂々と俺を引っ張りながら、警察署の階段を降りていく。

 途中すれ違った警官に「お疲れさん」「外寒かっただろ?」とか、声までかける余裕だ。


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