Tricksters2ッ
画多社長の半生



────「それで、シャパネットで何するつもりだ? ユカリさんに連絡しなくていいのかよ!」


 ゼンはシャパネット本社ビルのエレベーターに乗り込むと最上階のボタンを押した。



「しょうがないだろ! この先、検問してただろ!
 シャパネットガタガタといえば、通販。買い物だろ、買い物。ユカリには、後で電話する」


「買い物? そんな暇ないだろ!」


「うるさい! これ以上文句言うな!」


 まあ、確かに文句言ってても仕方ないけど……

 社員は退社した後らしく、社内は静かだ。

 入り口には守衛が二人いた。ゼンは顔パスで、俺は止められた。

 
 前にも、そうやって入れてもらえなかったから、今回も留守番かと覚悟した。


 ゼンは振り返ると「ツレだ」と言った。すると、すぐに入れてもらえた。



 以前、二時間待たされた苛立ちを抑えるために深呼吸を二回した。

 文句はなしだ。後日改めよう。

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