Tricksters2ッ


 ゼンは短いため息を「ふっ」と吐き出すと、髪をかきあげて暫く沈黙……


 藍莉が「何してるの? アイツ」と訊いてきた。


「多分……精神統一と心身を安定させてるんだと思う」



 シャパネットガタガタで調達してきたスーツは、いつもゼンが着ているスーツより若干見劣りするが、完璧に着こなしている。


 外見はいいんだけどな……中身に問題あるし。



「よし」


「大丈夫か? ゼン……」



 藍莉は、ソファーに座る俺の腕に絡みついたままだ。スリット入りのチャイナドレスからは、生足がスラリと出ている。



「何がかな? 淳一くん。さあ、ライバル会社の取締役がいらしたのだから、ビジネスの話をしようじゃないか」


「ビジネスー?」


 藍莉が胡散臭そうに声をあげた。編み込んだ黒髪を嫌々と揺らす。



「ひとまず、座ろう。ああ、淳一くんは、俺の隣に……香月取締役は、そちらへどうぞ」



 ゼンは長すぎて邪魔そうな足をスマートに組むと、対面のソファーに深く腰をあずけた。

 俺がその隣に行こうとすると、藍莉は「嫌」と首を振る。

 
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