Tricksters2ッ
「はぁーい。皆さん、内藤エキス入り豆乳鍋できました!」
内藤部長がちゃぶ台の真ん中にドンと鍋を置いた。沙悟浄一同は、シンと静まる。
「内藤エキスって?」
一応、代表で質問してみた。
「いやぁ~ん。淳一くんエッチな想像したでしょ? でも残念。昨夜一晩鶏ガラで出汁とってきたのよ。そのエキス!」
沙悟浄が「いざ、テンジュクへ」とフォークを突き上げた。
「ギャハハハ! もう所長の座も譲っちゃうかもしれない! 俺、限界」
ゼンが腹を抱えて転がると隣にいたユカリさんは「もう、バカね」と言いながらもゼンの皿に内藤エキス入り豆乳鍋を取り分けた。
最近、この二人の関係がなんとなく理解できてきた。知り合ってすぐは、なんでユカリさんみたいに素敵な人がゼンなんかにセフレ扱いされて弄ばてるのか、理解できなかった。
だけど、ユカリさんはゼンの傍を離れられないんじゃない。ゼンがユカリさんを手放したくないんだと思う。
ゼンはゼンで、色んな女に浮つきながらも必ず彼女の元に帰る。適度に特別アピールして、適度に突き放す。
最低な男のやることだ。でも、その距離にユカリさんを置いておくことがゼンには重要なことなんだろ。
今回の藍莉の件でユカリさんが傷ついてないといいけどな。
まあ、それは俺が心配しなくても、アイツが上手くフォローするはずだ。