Tricksters2ッ
「淳一……」
手錠がシャランと揺れた。
「俺は説教する気なんてねーし。
おまえの結婚についても、とやかく言うつもりない。そんな権利ないしな。
また商品パクられるのは御免だけど、次は同じ失敗をしない。
そういうの無しなら、お前といると楽しいよ。
こんなもん付いてなきゃ、もっと最高だけどな? デートの最後は自分の意志で、ここで食事したい」
藍莉から目をそらさずに、ジッと見つめる。
「本当に? 淳一、私と食事してくれるの?」
怒りに満ちていた藍莉が肩の力を抜いた。
「ああ、それから次の約束をしよう。もし、また映画がみたいなら、次はちゃんと約束して待ち合わせして行こうぜ」
「待ち合わせ……?」
「そう、普通は約束して、待ち合わせするんだ。都合がいい時に、相手誘拐するやり方は間違ってるだろ」
「そうなんだ……」
藍莉は、小さく頷いた。そこ初めて知るとこじゃねーぜ?
でもまあ、いいや。
藍莉が、鞄から手錠の鍵を取り出した。
少し躊躇いながらも、俺が逃げ出さないとわかると、鍵を開けて手錠が外れた。
なんだよ、案外可愛いとこあるじゃねーか。