副会長の秘密
「…ふふっ、やっと顔を上げましたね、亜稀ちゃん」
「…えっ」
「…だって、放課後に近づくにつれて、亜稀ちゃんったら机にベッタリなんですもの」
あ…、言われてみればそうかもしれない。
「…う、ごめんなさい」
「ほんと、ほっとかれる私の身にもなって欲しいですわ」
そう言うとプニっと私の顔を軽く摘んだ。
「………っ、みなひゃんごめんなひゃい」
「ふふっ…どうしようかなー」
「…ふぇっ!
だ、駄目なにょっ?」
日頃、こんなことをしないみなちゃんに内心ビックリしながら…。
遠回しにこうやって元気づけようとするみなちゃんに、私の悩み事が小さく感じた。
頬を痛くないように軽く摘むみなちゃんの手を、私は掴むと、
「…みなちゃん、ありがと」
それから、ギュッと細い手を両手で包み込むように握ると、私は笑顔を作った。