綺麗な百合にも棘がある
「先生、超がつく程のドSですものね」

「昔は親の目があったから、ひそかにあの子を困らせて楽しんでたけど、これからは気にせずにあの子を弄繰りまわせるわ」

超楽しみ。と夏妃は綺麗な顔で笑った。


夏妃と春緋の実家は資産を多く有していて、父親は跡継ぎである春緋を大切に育て、母も父に倣い、春緋に愛情を注いでいた。

女の夏妃には必要最低限な教育とモノしか与えられなかった。

それでも夏妃が道を外れることなく育ったのは、祖母のおかげだった。

祖母は夏休みなどの長期休暇には夏妃だけを自分の元に呼び寄せ、春緋に与えられている以上のものを与えてくれた。


学校でも根明な春緋のほうが人気があったが、夏妃は気にしなかった。

学力は夏妃のほうが上だったし、大学は祖母の家から通えるところに決めていた。友人などというものよりも本を沢山読んだり、文章を自分で作ることのほうが楽しかった。

それに、テストで赤点を取って補修だと騒ぐ春緋を見たり、夏季休暇の課題が終わらないと騒ぐ春緋の涙目を見るとゾクゾクした。



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