綺麗な百合にも棘がある
そんな夏妃の平穏が壊れたのは、高校2年の夏だった。

祖母の誕生プレゼントを春緋と買いに行く約束をしていたが、教室で待てども春緋は来ない。

下校時間がとっくに過ぎても来ない春緋に見切りをつけて、夏妃は帰ろうとしたとき、男子生徒三人に押さえ付けられて、レイプされた。

男子生徒達は口々に春緋が悪いと良いながら、夏妃を暴行した。

女の夏妃は抵抗したが、女の力ではどうすることもなかった。

全てが終わって、一人、放置された後、助けを求めたのは家族ではなく祖母だった。

各業界に顔の利く祖母は、警察や弁護士、医者などに連絡して、夏妃を保護してくれた。

夏妃を襲った男子生徒はすぐに捕まった。

春緋のクラスの男子で春緋を好きだと告白し、後先を考えない春緋は「気持ち悪い」と一蹴したという。その怨みを夏妃に向けたということだった。
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