綺麗な百合にも棘がある
「はぁ」

前任者が一緒なら安心だと、春緋は力を抜いた。

「おっ、きたきた。古賀、こいつが新しい編集。早速、那津木先生の所に行って来て」

「那津木って、那津木沙良先生ですか!」

シードの1·2を争うマンガの作者だ。少年誌だというのに、女の人とは思えない程の力強い絵と次を読みたいと思わせるストーリーに毎回引き込まれた。

その作品の担当になれるということが春緋を少し興奮させた。

北見が手を振った方を見ると、北見と同じぐらいに長身の男がこっちに向かって来ていた。

「分かった。お前、名前は?」

「如月春緋です。よろしくおねがいします」

「古賀進歩(こがすすむ)だ。行くぞ」

挨拶もそこそこに古賀の後はついて春緋は会社を出た。

「とりあえずはオレのやること見ててくれれば良いから」

「はい」
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