透明水彩

「はぁ…っ、はぁ…っ…、」

「ちょ、落ち着いて。
…ほら、大丈夫です。美凪サンは1人じゃありませんからー。だからゆっくり、ちゃんと息吸って……」


そう言いながら、震えるあたしを強く、ギュッと、まるで安心させるかのように抱きしめてくれた莱。伝わってくる莱のぬくもりに、少しだけ安堵した。

けれど、莱の体温が今のあたしにはあまりにも温かくて、耐え切れなかった涙が一筋、頬を伝う。

そして、だんだんと薄れていく意識の中、ふと思い出したこのぬくもりと、鼻孔を擽るこの匂い。あたしが莱に抱きしめられるのは初めてなんかじゃない、という確信。

3日前、あたしがこの世界に来たとき、寂れたあたしの家の前で何故か、訳もわからないまま莱に抱きしめられたんだったっけ。

何か、その後に色々と衝撃的なことがありすぎて、そのことをすっかり忘れてた。

莱とこの時代のあたしに、何か関係があったの…?
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