透明水彩
「…ちょ、美凪?動いて大丈夫なの?」
「うん、大丈夫。あたし、莱のところ行ってくるね。」
ゆっくりとベッドから下りて立ち上がると、前に経験したことがある目眩が、クラリと視界を揺らす。
目を細め、軽くこめかみを押さえながら、みんなの視線を背に部屋を出た。
どうやらここは、第二アジトでも、地下の第一アジトでもないらしい。
見慣れない建物だったけれど、そんなに広くもないので、ひとつひとつの部屋を覗きながら迷うことなく建物内を回った。
けれど、肝心の莱の姿はどこにも見当たらない。
まさかないだろうとは思いつつ外に出てみれば、夜空には満天の星空が広がっていて。
ふと思い出す、第一アジトで莱と2人で見た星空。
今思えばあの時にはすでに、あたしは莱が好きだったんだろう。
きっと。