透明水彩

「これでようやく、うるせーヤツが居なくなるぜ。」

「……湊、最後まで酷いね。」

「ははっ、半分冗談だっての。オレより年下のナギ、からかうの楽しかったぜ。」

「サイテー。」


湊も何だかんだ言って、色々あたしの背中を押してくれた。
まぁ、相変わらず何をするにもムカついたけど!


「美凪、サン。」


みんなと別れの挨拶を交わして、最後は莱。
何とか笑おうと引き攣る莱の笑みに、また切なさが胸に渦巻く。


「俺もこの時代で美凪サンに会えて、良かったって、思ってます、から。」


そして途切れ途切れに紡がれた言葉に、あたしが泣きそうになる。別れ際は泣かないようにしようと、そう、思っていたのに。


「俺を、好きだと言ってくれて、ありがとう、ございました…」


莱のエメラルドグリーンの瞳を潤ませる涙につられ、とうとう、涙が一筋頬を伝った。
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