- π PI -【BL】



比奈と俺が付き合う前から、比奈は守川とデキていて―――比奈は俺のIDを利用するために―――横領するために、俺に近づいたってわけか…





これで納得だよ……



周がやたらと比奈のことを知りたがったわけも。




ついでに言うと俺に近づいたわけも―――




そう言えば俺の行動範囲を気味悪いほど知り尽くしていたし…


こうゆうのを潜入捜査って言うんだろうな。


俺を好きだと言った言葉も―――全部、捜査のためだったわけか―――



俺一人が盛り上がって、バカみたいだ……




まるで魂が抜けた人形のように俺はうつろな視線を周に向けた。


周は俺の視線を受け止めながらも、すぐに逸らすと一枚の紙をテーブルに滑らせた。


「これは昨夜の出納データの一部です。深夜1時に現金が守川名義の口座に移動させられている。


あなたのアリバイは証明できましたので、ご安心ください」


俺は感情のない目でその紙面に走る数字を見て……それが破格の金額であったことに、すでに何も感じなくなった。


ただ指先が―――周の細くてきれいな指をひたすら追っている。


あの手に何度も撫でられた。


何度も包まれた。


温かくて―――さらりと感触のいい……周の手。


「アリバイ証明―――……か…」


俺はすべてに納得がいった。



昨日、周が俺を会社に行かせようとしなかったこと。


手錠を掛けてまで、部屋に閉じ込めたこと。





って言うかあれやっぱ本物だったわけだ―――







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