- π PI -【BL】


取調べが終わると、事務的な手続きを残った二人の刑事に任せ、周はさっさと帰ってしまった。


その刑事たちからも開放され、二人が帰っていくとき、


「橘警視もさすがにヤリ手だよな。確たる証拠なんて何もなかったのに、よくやるよ」


「さすが東大出のキャリアはデキが違うな。ここのね」


刑事は頭を指差してちょっと皮肉そうに笑っている。


この刑事たちは俺たちのことをどこまで知っているんだろう。


まさか周はあいつの部屋に俺が閉じ込められていたことを、この刑事たちに伝えたのだろうか。


まぁ…そうだよなぁ。


でもあいつと俺の関係がどんなものだって、今更どうでもいい。


ホント間抜けもいいところだよな。四年間も騙されていた挙句に、


好きになったヤツにも騙されていた。



でも……キャリア―――かぁ……しかも東大出って、あいつむちゃくちゃ頭いいヤツだったんだな…


中身変態だけど…


「これから警視はアメリカだろ?」


「あの歳で悠々自適、いいねぇ」


二人の笑い声が聞こえて、俺は目を開いた。


慌てて彼らの後を追うと―――


「あのっ!」俺は彼らを呼び止めた。


刑事たちは怪訝そうに振り返って、それでも「何か?」と答える。





「しゅ……じゃなくて…橘さん!アメリカ行っちゃうんですか!?」







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