- π PI -【BL】


刑事たちは顔を見合わせると苦い顔で、


「ああ、そうみたいですね。って言ってもこれは警視から口止めされてるから。


あなたたち友人なんでしょう?友達には黙ってて欲しいって」と口に指を立てた。


友人―――……じゃない……


俺は―――




あのスーツケース。周は最初からアメリカに行くつもりにしてたんだ。



ぎゅっと拳を握っていると、


「しっかしなぁ上の命令を無視してまで、わざわざ休暇を取って単独捜査なんてよっぽど確証がない限り、できないよな。


しかもホシを上げられなかったら、地方に飛ばされてたんだろ?それでも押し切って、必死になって、執念みたいなものが感じられたな」



なんて何も知らない刑事たちは、ちょっと笑って行ってしまった。




休暇―――単独捜査………


俺にはいっつもバカみたい変態っぷりを見せていた。


必死なんて―――微塵も感じられなかった。




東大出でエリートの頭の切れるキャリア刑事。


そして、変態で意味不明の俺様男。





周―――



本当のお前は




どっちなんだ―――






それは終わりのない円のように、ぐるぐると謎と疑心を残し―――



俺の中を不快に駆け回っていた。







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