- π PI -【BL】


――――

――


どうしてこんなところまで来てしまったのだろう。


あれこれ考えていたら、自然足は周のマンションへ向かっていた。


こんなところに来たってしょうがないのに…


それでも俺は(無理やり押し付けられた)合鍵で、周の部屋を開けた。


しかもあいつは「これは“合鍵”じゃなく“愛鍵”だ♪」なんてほざいていていたっけ。


全くもって最後まで分からないヤツだったよ、お前は―――


思い出したら、急に悲しくなってきた。


唇を噛みながら上がると、




部屋は今朝出てきたまま―――


あいつの香りが―――感じられなかった。




のろのろとリビングに向かうと、テーブルの上に箱が置いてあることに気付く。


結構な大きさの四角い箱だ。


あれ……?今朝出てくるときは置いてなかったのに……


ぼんやりとその箱を眺めると、その手前に置いてあった俺のケータイが突如鳴り響いた。


びっくりして慌てて開くと、






“I LOVE 周”とふざけた名前の着信が表示されていた。













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