- π PI -【BL】


俺は周の番号を知らない。


ってことはアイツが勝手に入れたに違いない。


でも…


周―――!!


裏切られたという事実よりも、真実が知りたくて俺は通話ボタンを押していた。


だけどロックが掛かっていて、通話が開始されない。


!!


“キー操作ロック。暗証番号を入力してください”


またもディスプレイに無情な一文が表示され、俺は


「またかよ!!くそっ!」と舌打ちした。


ケータイの着信は鳴り続ける。


これは周が設定した暗証番号だ。あいつに関係するもの…


あいつと出逢った日にち?


―――は、前に試したけど違った。俺の誕生日でもないしIDナンバーでもない。


鳴り続ける着信音に、焦りがつのり俺の手のひらにじっとりと汗が浮かんだ。


何だよ、何の番号だよ…


頼むよ!開いてくれ!!


今アイツと話さなきゃ―――俺はもう二度とあいつの本心を聞き出せない。



アイツに気持ちを伝えることもできない。






周―――!!!






心の中で周の名前を呼んで、俺は目を開いた。






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