ガリ勉くんに愛の手を
男は僕が出した証拠を前に観念したのか、急におとなしくなった。

「…俺、どないしたらええねん?」

「真理亜さんにお金を返して下さい。」

「な、なんやて?!」

300万円入った封筒を大事にかかえながら、 

「もう、これだけでええわ。へへへ…」

僕は首を横に振った。

男は渋々持っていた300万円をテーブルに戻した。

「なあ、兄ちゃん。警察だけは勘弁してや。俺も生活あるし、頼むわ。」

「わかっています。その代わり、2度と真理亜さんを脅迫するような事はしないでください。」

「わかった。あんた、話のわかるええヤツやな。
真理亜お前、男見る目あるやんか。」

調子のいいヤツだ。

「ほな、すんません。」

軽く挨拶をし、その場から去って行った。

(無事、終わった。)

緊張していた体がもろく床に崩れ落ちた。

(な、なんとか、うまくいったな。
はぁ、はぁ、はぁ…)

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