ガリ勉くんに愛の手を
翌日、おじさんはいつも以上に気合が入っている。

(よしっ!あとは、佐奈やな。
あの頑固者を説得するのは大変やけど、俺が絶対に二人をくっつけてみせる!)

長年の経験がモノを言う。

色んなカップルの仲をとり持ってきた実力を発揮する時がきた。

ちょうどその時、佐奈が店にやってきた。

「佐奈、おはよう!」

「あぁ、おはよう…」

(やっぱり、元気ないな。)

「佐奈、大事な話があるんや。」

あまり反応がない。

「まだ、店開けるまで時間あるから、ちょっとここ座って。」

「おっちゃん、そんな呑気な事言うてたらお客さん来てしまうで。」

(まったく、強情なヤツやな。)

「まぁ、ちょっと座れ。」

(今日のおっちゃん、ひつこいな。)

佐奈はとりあえず、カウンターに腰を下ろした。

「で、話って何?」

(そう先に突っ込まれると、やり辛いな~。)

「実はな、ベンの事で…」

「もう、いいわ。何も聞きたくない!」

即座に席を立とうとした。

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