ガリ勉くんに愛の手を
― 翌朝

(あ~、頭がガンガンして痛い。)

慣れないベッドから体を無理やり起こした。

(昨日、うち…
健二とどうなったんやろう?)

自分でも良く覚えていない。

ただ、健二がここにいないと言う事はうちが健二を拒否したって事?

(どうしよう。
うち、とんでもない事してしまった。)

不安な気持ちで健二に電話をかけてみる。

(とりあえず謝ろう。)

♪プルルルル…♪

付き人のまりが健二の携帯が鳴っているのに気がづいた。

「健二さーん、携帯鳴ってますよ。」

「おう、ありがとう。」

健二は、ダンスのレッスン中だったが、少し休憩を入れ、まりから携帯を受け取った。

(……。)

健二は着信を確認するとそのまま携帯をテーブルに戻した。

(あれ?なんで出ないの?)

不思議に思ったまりが健二の目を盗んで着信履歴を確認した。

(あ、佐奈さんからだ。
どうして?何かあったのかな?)

まりは、何かもめ事があるのを期待してニヤリと笑った。

♪プルルル……♪

(健二、仕事中かな?)

仕事ならいい。

でも、もし昨日の事を怒っているんやったら、
どうしよう…

うちの不安はますます大きく膨れ上がっていった。

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