ガリ勉くんに愛の手を
「そうか、お前やったらわかってくれると思ってた。

でもな、この世界は厳しいんや。

おれは、大阪から出てきて頼る人もいてなかったし、一人でここまでやってきたんや。

こんな汚い手を使わんとスターにはのし上がる事は出けへん。」

(健二…)

「お前かて…」

健二はいいかけた言葉をすぐに飲み込んだ。

「何?言いたいことあるんやったらはっきり言うて!」

「お前こそ卑怯やろ?!俺に一生ついて来るっていいながら、逃げてばっかりや。」

(やっぱり…あれが原因やったん?)

「健二、それは違うねん。うちは……」

できれば健二には知られたくなかった。

でも、もう本当の事を言うしか二人の誤解を解く事はできない。

「あの時の事は悪いと思ってる。健二の事がいやで拒んだん違うねん。

実はな、うち…1年前に…

レイプされて…」

(レイプ?)

「仕事行く時に男二人に無理やり…」

それ以上何も言えず、涙だけがこぼれ落ちた。

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