ガリ勉くんに愛の手を
「け、健二?」

「なぁ佐奈。俺、今めっちゃ寂いしいんや。
心細くて一人でおるのが怖い。
頼む、俺を慰めてくれ。」

健二はそう言って佐奈を自分の胸の中へ引き寄せた。

(佐奈さん!)

僕は顔が窓に食い込むほど身を乗り出した。

「ちょ、ちょっと健二、何するのん?放して!」

健二はいやがる佐奈をそのまま畳の上に押し倒した。

「健二、いい加減にして。」

そしていやがる奈の唇を無理やり奪おうとした。

でも佐奈は必死で顔をそむけ、ぎゅっと唇をかみしめながらキスをさせなかった。

「いやっ!やめて!」

「ええやろ?佐奈。
俺がこんな風に惨めな男になったんはお前のせいやで。」

(うちの?)

「お前が俺のプライドをボロボロにしたんや。
男のプライドをな!一回ぐらいさせろや。」

(うちが健二を傷つけた…)

その言葉を聞いた瞬間、佐奈の頭は真っ白になって抵抗していた体から力がスーッと抜け落ちていった。

健二はそんな佐奈の頬を撫でながら、

「そうや、お前は昔から賢い女や。
俺がお前を愛したるからな。」

健二は抜け殻になった佐奈の首筋にキスをしてゆっくりとTシャツの中に手を入れた。

佐奈はもう抵抗せず、それに従うつもりでゆっくりと目を閉じた。

(ベ… ン…)

その目からは一粒の涙がこぼれ落ちた。
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