ガリ勉くんに愛の手を
「人生色々やな。
それにしても、うちらなんでクリスマスイブやのに今年も一緒におるんやろう。」

「しゃぁないやろ?!どっちも彼氏おれへんねんから。」

ユリが嫌そうにみゆきを見た。

「なぁ、みゆき。
うちらも来年20歳やし、そろそろ真面目に働かなあかんよな。」

「うーん。」

「やっぱり[おやじ狩り]はもうやめよう。」

ユリの言葉にみゆきが急にシュンとした。

「そうや、そのせいでうちの就職があかんようになったんや。」

みゆきは今年の1月、中小企業に就職が内定していた。

それなのにその会社の研修でとんでもない事が起こったのだ。

それは研修に来ていた部長がよりによって以前電車で[おやじ狩り]のカモにしたおじさんだったから。

その部長はみゆきの顔を見てすぐにその事を思い出したらしく案の定、内定を取り消されてしまったようだ。

未だに就職先が決まらずアルバイト暮らしをしているみゆき。

「ユリの言うとおりやな。いつかえらい目に合うって誰かに言われたし、もう[おやじ狩り]は卒業や。」

二人は目を合わせ、しっかりと誓い合った。

そして……

「ユリ、今年中に絶対彼氏見つけよう。
いざ、ひっかけ橋へ!」

「GO!」

これが真面目に生きると誓った第一歩とは思えないが、人生悔いのないように青春を満喫しようとしている。
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