さくらシンドローム
4、正体

それから何日も張り込んだ。

朝と放課後、校門の前に立ち過ぎていく生徒を凝視する。

瑞樹がどうしても無理な日は幸雄1人で張り込んだ。

それでもさくらは見つからなかった。

「なー桐生。やっぱりいないんだってー。」

「…そうかもな。」

幸雄は俯いた。

「…なんだよ。桐生らしくない。」

「だって一度学内で会ってるのに、あれからどんだけ探して見つからないんだぜ?もしいたとしても避けられてるとしか考えられない。」

「…桐生…。そうかもな。そうかもしれないな!」

「慰めろよ!」

その日は雨降りで顔が確認できないということもあり、放課後の張り込みは中止になった。

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