誓~天才演技者達の恋~
「好きだ」
『...そうか。なら良かった』
卓也はソファーから起き上がり、電話を握り締める。
賢斗は、大きく息を吸っていた。
『俺は、社長から何も言うなって言われてる。
俺も最初、そのほうがいいんじゃないか?って思ってた。
ユリアは一生、記憶喪失の可能性があるから。
だから、ワザワザ記憶喪失って世間に言う必要は無い。
でも、俺が嫌なんだ。
芸能界は華やかだけど、時には残酷だ。
ユリアが二股女やら、記憶喪失は演技なんじゃん?お得意の...なんて言われたら、記憶喪失でも辛い。
だから俺は言う。
ユリアとは元々付き合って無かったって...。
自分が香織社長に気に入ってもらう為に、娘のYuriaに近づいた...って』
「信じるのか?記者達は...」
賢斗は電話の向こう側でため息をつく。
卓也は、賢斗の気持ちが伝わって、胸が苦しくなる。
『信じてもらえないかも知れない。
だけどいいんだ。
自己満足かもしれないが、そのほうがいいんだ。』
「最後に確認していいか?」
『なんだ?』
卓也は携帯を一度、耳から離す。
そして、深呼吸をした。
「Yuriaは、本当に...白野百合亜なんだよな?」
賢斗が、電話の向こう側で笑っている。
卓也も釣られて笑った。
『心配するな。
ドッキリとか、たまたま偶然が重なっただけ!とかっていうオチじゃない。
ちゃんと白野百合亜は生きてるよ』
賢斗はそう言うと、卓也の言葉を聞かずに電話を切った。
タイミング良く、楽屋に灰田が入ってくる。
「卓也。車の準備できた。
この後、歌原社長と話し合い的な..感じだから」
「あぁ、分かった」