誓~天才演技者達の恋~

________
____________


ユリアはあの日から、すべてが空っぽになった。

ユリアの声に百合亜は反応しなかった。

今は、自分が誰なのかも判断できていない。


「........」


ガラスに映る自分を見て、鼻で笑う。


「こんなに細いの...はじめてかも」


ユリアは貧血気味に、フラリとベットに倒れこむ。

眠りについた途端、彼が病室の扉を開けた。


「ユリア...」


スヤスヤと、時々苦しそうに寝ているユリア。

その傍で、つらそうな顔をしている賢斗。


「ユリア。もう俺は十分だ」

「。」

「いい夢を見させて貰った。ありがとう」


賢斗はユリアの傍に、台本を置いた。

師羅監督から無理を言って貰った台本だ。


「百合亜が百合亜じゃなくなった時、卓也はちゃんとオマエを見つけたよ」


賢斗は優しく微笑むと、ユリアの頭を撫でた。


「あとはユリアがどうするかだ」


賢斗はユリアから少しずつ離れる。

病室のドアに手を掛けると「じゃ」と呟いた。

ユリアは賢斗が出てのを確認すると、台本に手を伸ばした。


「白野百合亜...の一生」


ユリアは一ページ目を捲る。

『最愛の百合亜に贈る。
俺は言うよ。

キミを永遠に愛していると...。』

ユリアは涙を一つ、そのページに落とす。


『演技の天才は、今も君の中に。』
< 216 / 252 >

この作品をシェア

pagetop