ちょこれーと



「紗依さん?そのままでいいから、聞いてください。」


「………」


「俺は、紗依さんの事が好きです。だから、年下が対象外って言われて、ちょっとむきになってしまたんです。で、順番がおかしくなってしまって、混乱させてしまったこと、本当に申し訳なかったなって…でも」


「でも…?」


下を向いたまま、尋ねた。

「やっぱり、自分の気持ちに嘘はつけないんです。紗依さんが好きなんです。あの日、腕の中に抱きしめたぬくもりが…紗依さんの鼓動が、忘れられないんです。」


そこまで言うと、彼は握っていた私の掌を離した。


「あ…」


自分で出した声に、驚いた。
握られていた掌が…一気に寂しさを覚える。


不安になって、顔をあげた。



「あ…あ、お…やぎ…くん?」



そう言った私に、彼はほほ笑むとゆっくりと腕を広げた。




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