最後の恋
『……ふふっ、そうなんだ。わざわざありがとう』
『莉奈が生まれてから29年ってことは…お母さんもそれだけ歳を取っちゃったってことなんだけどね。でも、莉奈があと1年で30になるのかって思うとなんだか不思議な感じがするわ』
『えっ?何が不思議なの?』
『うん、何ていうのかな。あっという間に大きくなっちゃったなぁって。就職して一人暮らししてからは頻繁に顔見なくなったでしょ?』
『うん、そうだったね…』
『でも莉奈が今年も元気に誕生日を迎えられたっていうだけで、お母さんは幸せよ』
ふいに言った、お母さんのそんな言葉に、何故か胸がキュッとなって。
なんだか今すぐ、お母さんに会いたくなった。