最後の恋



♪〜♪〜♪



と、その時だった。



テーブルに置いていた携帯が騒がしく鳴り響き、私はすぐに手を伸ばした。


そして相手を確認すると軽く咳払いをして、わざと明るいテンションを作り電話に出る。





『もしもし〜?どしたの〜?』


『あ、莉奈?今、大丈夫?』


『うん、大丈夫だよ〜』


『そう、よかった。今日、誕生日でしょ?29歳の』


『アハハッ、うん。とうとう20代最後を迎えちゃったよ』


『ふふっ、土曜日だし誕生日だからどこかに出かけてて電話に出ないかもなぁって思ったんだけどね。ちゃんとおめでとうを言いたかったから』






アレ?


……なんでだろう。



なんか今、ちょっとだけ涙腺がゆるんでるような気がする。


< 9 / 418 >

この作品をシェア

pagetop