最後の恋



『松永さん帰る時に用事あるって言ってませんでしたっけ⁉』


早川さんは真ん丸な目をパチパチさせながら私を見つめる。


『あ、うん…』


どうしよう…


『でもあの後、椎名くんとバッティングセンター行ってたんですよね⁇』


『えっ?あ…行ったけど…何で知ってるの?早川さん』



周りからの視線がキツイ。

早川さん、声大きすぎじゃない?




『椎名くん、大原さんに電話してきてあたしに代わってくれって言ってきたかと思ったら、松永さんの電話番号教えてほしいとか言ってきて。何してたか聞いたら2人でバッティングセンターに行ってたとか言ってて』


『うん…』




バカ椎名!

何で早川さんにそんなことまで言っちゃってんのよ…



『松永さんも椎名くんも用事あるって言ってたのに何でそんなとこ行くことになったんですかぁ⁉』



ちょっと待って…。

お願いだから声のボリューム下げて。




『あっ…あの後…酔っ払いにからまれてさー。ほんとヒドイおじさんでね、ムッカー!ってきちゃって私も椎名くんも。約束にも遅れちゃってたし、なんか流れで発散しに行くことになったの。いやー、最近のおじさんはタチが悪いわ、早川さんも気をつけなきゃだめだよー?』




スラスラ〜っと出てきた言葉。

その場しのぎになるかと思ったけど…




『あ!そうだったんですかぁ⁉それ超ムカつきますね!2人に何もなくてよかったー!』




早川さんは意外にも素直に聞いてくれた。

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