最後の恋


それから帰りの電車の中でも私達はずっと手を繋いでいた。

人目も気にならなくなったくらい、私は椎名と過ごす時間に酔っていた。

目が合うとドキドキした。
いちいち胸が音を立てるように反応する。


「ビールふたつ」

流れで私の自宅近くの駅前にある鉄板焼きのお店に着くと、椎名は何も聞かずにそう注文してくれた。


「莉奈さん今日はありがとう」


カウンターで横並びになった私の方を見てニッと笑う横顔になんだか照れくさくなりながらも、ビールのジョッキをコンッと当てて私はすぐにそれを口に運んだ。


時刻はもう、夜の7時半。

あのドキドキで後ずさりした朝から9時間が経った。


「そうなん?俺もチーズ好き!」


不思議だった。

ほんの数日前までは同じ会社でも名前も
知らなかったのに。

ほんの少し前まではほんとに本気で私と付き合ってるの?って、半信半疑だったのに。



「莉奈さん嫌いなものあるん?」

「うん、納豆」

「ほんまに!?俺もやねん!」


テンポよく進む会話が心地よくて。


「じゃあ一番好きなのは何?」

「カニ!」

「マジで⁉︎一緒や!」


そして好きなものと嫌いなものがピッタリ一致するという話の流れに、また少し距離が縮まるような気持ちになった。


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