最後の恋


眠りにつく前も、浮かんできたのは椎名の顔。

可愛いかったな、なんて思い出しながら目を閉じた。


だけどもう一人。

ふと浮かぶ。元カレ、サトル。


結婚…
プロポーズ…


結婚…できるのかな、私。


椎名はまだ若い。

きっとまだまだ結婚する気なんてないはずだ。


このままもし二年付き合ったとしたら?

結婚できる?


二年後椎名は25歳。私は今29だから…31歳か。


たった二歳年をとるだけなのに。
20代から30代に変わるだけなのに。


どうしてこんなにも違いを感じてしまうんだろう。

29と31じゃ、全然違う気がしてしまう。



もし。

仮に二年付き合ったとして、結婚できなかったら…?


もしも椎名と別れることになったら?


私は31歳で、また新しい誰かを見つけなきゃいけないんだ。



未来が見えなくて、不安になった。


今は幸せ。幸せすぎて怖いくらい。


だけど半年後は?

一年後は?

五年後、十年後は?


そんな想像をすると、将来への不安の波にドッと飲み込まれそうになる。


ずっと続くの?今が。

時間は人を変える。心も変える。


ずっと変わらない気持ちなんて…本当にあるのかな。

眠りにつくまで、ずっとそんなことを繰り返し考えた夜。


サトルからの突然のプロポーズは…ゆらゆらと心が揺れ動く始まりになるなんて、この時はまだ気付いていなかった。


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