最後の恋
「俺は莉奈さんのためにって思って…」
分かるよ、言いたいことは。
「うん、でもね、椎名が早川さんに言うのは違うと思う。早川さんは私に怒ってるんだし、その原因になったあんたがまた出てきたら、おさまるものもおさまんなくなるじゃん」
「でも…」
「私もぶっちゃけ疲れてるんだ、周りの目だってそうだし、今日だって会社でやればいい仕事を、早川さんが残業してたから家に持ち帰ってきてやってさ…」
「周りの目って何なんすか?」
「私が早川さんから椎名を奪ったとか、そんな噂になってるの。年末からずっと」
私がそう言うと、椎名は気まずそうに黙り込んだ。