最後の恋
「とりあえず今から行くから」
「えっ?いいよ来なくて…」
「いいよじゃねーって。別にやましい気持ちとかで行くんじゃないから。お前のことだから飯も何も食ってないんだろ?飲み物とか買ってくから、とりあえずおとなしく寝てろ。分かったか?」
「……」
「返事は?」
「はい…」
私がそう答えると、じゃあと言って電話は切れた。
何だか懐かしい。
昔、何年か前にも似たようなことがあった。
熱があったのに無理して仕事に行って、こじらせて悪化してしまって。
そしたらサトルは怒りながらもすぐに来てくれて夜通しずっと看病してくれた。
何だかあの頃みたい。
懐かしくて、切ない痛みが胸をキュッと締め付けた。